四十・五十肩(肩関節周囲炎・Frozen shoulder)

みなさんこんにちは!副院長の出山です。  

しばらく睡眠について書いていましたが,
芯支堂ではどういったことをやってくれるの?や、どういった症状・お困りの方が通われているのかと聞かれることがありましたので、

肩関節は胸郭上に基盤となる骨が存在しないため、靭帯と筋肉の身に支えられる非常に不安定な構造となっています。
このため上肢の滑らかな動きと肩関節の安定性は肩関節周囲の多くの筋の協調作用により維持されています。

主な肩周囲の筋肉

  • 僧帽筋
  • 菱形筋(大・小菱形筋)
  • 棘上筋
  • 棘下筋
  • 肩甲下筋
  • 小円筋
  • 大円筋
  • 前鋸筋
  • 三角筋
  • 広背筋
   ⏫※ヒューマンアナトミーアトラスより参照

※棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉は回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれるインナーマッスルになります。
回旋筋腱板(rotator cuff)は上腕骨頭をかかえ込み肩関節を安定させるはたらきがあります。
ローテーターカフが肩関節に接していることで、関節における望ましくない並進移動を制限し、肩関節の安定性を増加させる動的安定性を保ってくれています。
ローテーターカフの筋肉を予備作動させることで、上腕骨頭を関節窩にしっかりと押し付け、回転や移動を制限し回転軸を安定させることができます。
これにより主要な筋肉が働く前に、より安定したレバー効果を発揮します。

また肩関節は大きく分けて5つの関節からなります。

1.肩甲上腕関節
2.胸鎖関節
3.肩鎖関節
4.肩甲胸郭関節
5.三角筋下関節(肩峰下)関節


明らかな原因がなく40〜70代に肩関節痛と運動制限を主訴とする症候群を指します。

類似する疾患名

  • 上腕二頭筋長頭腱炎
  • 肩峰下滑液包炎
  • 肩関節腱板炎(変性性,外傷性)
  • 石灰沈着性腱板炎
  • 関節包炎
  • 肩鎖関節炎
  • 腱板疎部炎
  • 烏口突起炎 など

肩関節周囲炎は病期により大きく3つに分けられます。

①炎症期(急性期,痙縮期,凍結進行期)
炎症による「自発痛・安静時痛」や「夜間痛」を訴える炎症期。
憎悪すると夜間痛や安静時にも痛みが出現。
動作での痛みだけでなく、肩がジンジン・ズキズキするなど表現されることが多いです。
強い痛みを伴うため日常生活に支障をきたすことが多くなります。
無理に動かすことで炎症が蔓延し痛みが引かない場合や痛みが強く動かせなくなり、動かさなくなった結果拘縮が出現し始めます。
肩関節周囲炎やインピンジメントなどで肩関節包内の滑液包内の滑液の粘度が上昇し、関節包が拘縮を起こす原因ともなります。

②拘縮期(凍結期)
拘縮期が進行する時期。
安静時痛は改善し痛みは和らいできますが機能障害による可動域制限が進行し、肩甲上腕関節包が固くなる「解剖・構造的破綻」を呈します。

③回復期(慢性期,解凍期)
徐々に拘縮が改善してくる寛解期の順に経過します。
少しずつ動かせるようになり拘縮による可動域制限が徐々に改善していきます。

関節拘縮(Contracture)

関節の不動(動かないこと)により繊維化(皮膚,骨格筋,靭帯,関節包などの軟部組織が壊死して糸の様な組織に置き換わり、伸び縮み能力が失われる)することで関節可動域減少が引き起こされ固定すること。

関節強直

関節の外傷や全身性疾患のために関節内の骨,軟骨,関節包などの構成体が傷んでしまい変形や癒着が原因で関節可動域制限が生じている状態。

就寝時の痛み

就寝時拘縮肩では可動域が狭いため、肩甲骨が固定されると肩関節は伸展され、さらに上肢のポジショニングによっては外旋され肩板疎部は伸張される。
これを回避するためには上肢を支えるようにクッションを肘と腹部におくようにすると就寝時の夜間痛が軽減する。

注意しなければならないのはご自身がどのステージにいるのかによって日常生活での気をつけるべきことも変わってきます。
寝返りにより骨頭の重みで固まっている組織が伸張されて痛いのか、
炎症が強いことにより関節内圧の増加による痛みなのかによっても対処法が変わってきます。
拘縮か炎症かの見極めを的確に行い、愛護的な手技と安静か・積極的な手技と運動療法かを判断する事が大切になります。

また上手く治療出来たとしても約半年ぐらいはかかりますし、それ以上にかかるものもあります。
痛みが長く続くとストレスになりますが、無理にご自身で頑張って動かした結果炎症を繰り返し余計に長引かせていたという例もあるので、治療やリハビリの専門家に相談することをお勧めします。

(1)高さを調整
バスタオルや枕を使い、肩の高さを補います。
肩の後ろから肘にかけて支えを作り安定させます。

(2)痛い方を上に、横向きに寝る

肩の関節は体の内側に向いている方が楽になります。
横向きに寝るのも対処法の1つです。
横向きになるときは肩が押し下げられないよう高さを保つための抱き枕や、丸めた毛布などで支えを作ってみましょう。

(3)枕は高すぎず、低すぎず
枕が高すぎると首や肩周りの筋肉を引き伸ばし痛みが出ます。
逆に低すぎると、首や肩周りの緊張を高めるため肩に負担がかかります。
頸のことを考えると寝返りを打てるぐらいの幅が欲しいところですが、いかに安静状態を保ち炎症の痛みの強い時期を乗り越えていくかが大切なので、ご自身が1番睡眠をとりやすい姿勢を探してみてください。

枕から上半身→下半身にかけて傾斜をつけると首から肩への負担も緩和されます。

ちょっとした工夫で就寝時の肩関節にかかる負担を減らすことができ、
「夜間痛」の緩和と質の良い睡眠がとれるようになります。

下記の日常生活での注意点や運動

理学療法ハンドブック
https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/handbook13.pdf

多くは退行性に変化し、自然治癒すると言われています。 罹患期間は半年から1年、長期の場合2年以上など個々さまざまに期間が変化します。
拘縮を中心とした運動障害は、残存する可能性があります。
当院では来院後にLINEを登録して頂ければ、症状や時期をみながら適宜運動を動画で送ることもできます!

自分1人だと不安という方は、当院で担当スタッフと一緒に行った上で
ご自宅での復習として使って頂くことも出来ます。

運動をしているけど良くならない人の中には、ストレッチや筋トレのやり方・目的を間違えていたり、負荷の選択を見誤り炎症を常に引き起こす原因を作り出していることも意外と多かったりします。

運動では肩関節屈曲(前ならえの状態で腕を頭の方に上げていく)90度をまずは目指し、
90度以上からは代償動作(僧帽筋・挙筋を使いすぎて肩をすくめるような動き)を伴わないように角度を徐々に上げていくと、炎症を再度引き起こさず順調に可動域を広げていけると思います。

整形外科では120度(日常生活上問題のないであろうとされる角度)を目標にリハビリテーションを行っていくことが多いです。

人それぞれ目指すゴールは違ってくるので、病院でリハビリが終わっているがもう少し伸び代を出していきたいなどのご相談も遠慮なくしてみて下さい!

四十肩等に関わらず怪我の場合は炎症が起きてから3日以内に治療に取りかかれるか取りかかれないかで、予後の回復に影響を与えることが多いです。
気になったらまずはご相談を😌

今回も最後まで読んで頂きありがとうございます!
今後は何回家にわたり睡眠と整骨院に来院される方で多いお困りの症状などをブログに書いていこうと思います。
何か身体や健康など気になるトピックがあったら遠慮なく聞いて下さい😊
どこかでブログの題材として取り上げさせて頂くかもしれません!

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