膝前十字靭帯損傷

皆様こんにちは!
今年も残すところあと僅かとなりました。
一段と寒くなったせいもあり、急患の方が増えていますが、
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

さて、本日のテーマは「膝前十字靭帯損傷」です!

◎原因

前十字靭帯損傷はスポーツによる膝の怪我の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多いです。
タックルを受けるなど相手との接触によって起こる接触損傷や、交通事故などでも起こります。

◎症状

激しい痛みやブツッという断裂音(ポップ音)を感じることがあります。
また、靭帯からの出血が関節内にたまり、関節の腫れを伴います。
受傷後は徐々に症状が改善し数週間で歩けるようになりますが
膝の不安定感や、膝が抜けるような感じ(膝くずれ)が生じることもあります。

◎治療法

前十字靭帯は関節内にある靭帯なので血流が乏しく、一度切れてしまうと自然治癒の可能性はほぼありません。
中高齢者には保存的な治療が選択されることもあります.
しかし保存的な治療では前十字靭帯の機能回復は期待できないため、競技スポーツに復帰したい方には手術が勧められています。

◎保存療法

膝動揺性抑制装具(サポーター)を装着して、痛みのない範囲で関節の動きを改善する可動域訓練を行い、筋力低下を最小限にとどめるようにします。

◎手術療法

損傷した靱帯の代わりに、自身の腱(自家腱)を移植する「前十字靭帯再建術」が一般的です。
手術は関節鏡を用いてできる限り低侵襲で行われています。

◎痛みが引いてきたから手術しなくても大丈夫?🤔

前十字靭帯に50%を超える損傷を受けると、ほとんどの症例で断端は退縮し、
「ACL 不全膝」と呼ばれる不安定膝となります。
不安定な膝になると色々な動作時に膝関節が異常に動きます。
異常に動くのを半月板などが壁になり防ぎます。
頻回にストレスを受けた半月板はダメージを受けるため、徐々にボロボロになり、
半月板で防げなくなると関節軟骨へ直接ダメージが加わります。
将来的には変形性膝関節症になるリスクが非常に高くなります。
怪我をしてから20年で、95%が内側半月板の手術が必要となり、
68%でGrade4の軟骨損傷(膝の隙間がなくなり末期の段階)が報告され、
35年で50%が人工関節を要したと報告されています。

今回もここまでお読みいただき有難うございます!
年始は1月4日から営業しております。
年末年始、皆様体調にお気をつけてお過ごしください。

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